日本人になりたい(帰化について)

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帰化について

日常の生活や、仕事の都合から、日本人となって生活をした方がよいと考える外国人の方もいらっしゃるでしょう。とくに日本人と結婚しているので日本国籍を取得したいと思う外国人の方は多いでしょう。

日本人になるための手続き、日本国籍を取得することが帰化と呼ばれるものです。帰化が認められるまで1年ほどかかりますが、認められると日本のパスポートを取得することができます。

帰化の手続きですが、日本人になりたいと宣言すれば誰でも認められるわけではありません。法律で、帰化が認められるための条件や提出が必要な書類・証明書が決められているので、以下簡単な言葉で説明をします。

帰化による日本国籍の取得 法務省民事局発行のパンフレット(PDF)

帰化と永住権の違い

帰化の条件1.居住地(住所)

帰化を申請する時まで、出入国在留管理局から許可されたビザ(在留資格)を持ち、引き続き5年以上日本に住んでいることが基本的な条件になります。毎年365日のうち、80%以上日本に滞在したかチェックされます。ただし、留学のビザで日本に滞在している期間は、日本に住所を有しているとはみなされません、例えば、留学生(留学のビザを取得)として日本に滞在し、卒業後そのまま日本の会社に就職した場合(就労系ビザを取得)などは留学中の期間は日本に滞在している期間とはなりませんので注意が必要です。

帰化の条件2.能力

帰化を申請するためには、年齢が20歳以上で、本国の法律でも成人の年齢に達していなくてはなりません。例外として、親と同時に行う帰化申請については、年齢の要件が緩和されます。

帰化の条件3.素行

素行に何も問題がないことが重要です。犯罪には関与したことがなく、社会に迷惑をかけていないことがポイントです。交通違反についても判断材料になります。また、ちゃんと納税をしていることも、国民の義務と関係しますので、納税証明書(国税、住民税)を提出しなくてはなりません。また、日本の年金制度に加入していることの証明書が必要です。日本の年金に未加入の場合には帰化の申請は認められません。通常の日本人と同じように、社会の中で生活できるかどうか判断されます。

帰化の条件4.生計

いわゆる経済力の問題です。自分の力で仕事をして、生活することができるのかがチェックされます。日本で暮らすのに、配偶者の経済力で安定した生活を送ることが可能であれば、問題はありません。また、学生の場合は、親の仕送りでも認められます。 結婚の場合、愛し合って同居して生活している事実がないと帰化は認められません。
結婚の場合、引き続き3年以上日本に住所を有していて、現在でも日本に住所があれば、帰化の申請ができます。また、日本人配偶者である外国人は結婚後3年以上が経過して、引き続き1年間日本に住所があれば帰化申請することができます。

帰化の条件5.国籍

帰化しようとする外国人は、無国籍かまたはそれまでに有していた国籍を喪失している必要があります。日本は二重国籍を認めておりません。

帰化の条件6.憲法遵守

日本の平和憲法の精神に合致する人でなければ、帰化は認められません。テロリストの予備軍のような危険性のある人物であれば認められないということです。

帰化の条件7.日本語能力

だいたい日本人の7歳から8歳レベルの日本語の読み書きの能力が求められます。日本人の小学生低学年の国語力なので、カタカナ、ひらがなに加えて簡単な漢字も理解をしておく必要があります。基本的に担当官と日本語でスムーズに会話ができないといけません。実際に日本語のテストをされるケースが大半なので、日本語にある程度自信がなければ帰化はお勧めできません。

その他の帰化申請の条件と注意点

どうでしょか?これらの条件をクリア出来そうですか?注意しなくてはならないのは、日本には80%ルールが存在し、年間80~100日以上海外に出張するようなビジネスマンの場合、帰化の申請は難しくなります。1年365日のうち80%以上の日数を日本に滞在している条件となるためです。

特に注意が必要なのは日本の年金への加入となります。年金への未加入の場合には帰化の申請は認められません。65歳を過ぎてから安定した老後生活をおくるため、年金制度に加入していることが必要となります。居住要件を満たしていても年金に加入していなければ帰化の申請すら認められることはありませんので注意が必要です。

帰化申請の場合、地方法務局によっては家庭訪問も実施される場合もあるので、プライバシーを公開する覚悟も必要となります。

必要書類はかなり多く、ケースにより多少異なり、帰化許可申請書のほかに、国籍を証明する書類、生計の概要書、事業の概要書、給与明細書(年金加入の証明書も含む)、身分関係を証明する書面、親族の概要書、住民票、履歴書、帰化の動機を説明する文書、宣誓書、納税証明書、住居・勤務先の略図、技能・資格を証明する書類など約30種類近くが必要になります。

これらの書類全部を帰化申請のために用意すること。また、帰化条件に該当する日本語能力だけで帰化申請ができる書類として完璧に仕上げるのはかなり大変です。

帰化申請は法務局あるいは地方法務局に申請する必要があります(帰化申請は出入国在留管理局に申請するものではないことに注意してください)。

帰化申請の具体的な流れ

ここからはあなたが帰化申請をしようとした場合にどのよう流れで帰化申請を行うかを説明いたします。

1.帰化申請をしようとする人の年齢について

帰化申請をする場合には申請者の年齢によって対象者異なります。

  • 申請者が15歳未満の場合には父母などの法定代理人が申請をします
  • 申請者が15歳以上の場合には本人が申請をします

なお、帰化申請は、手続き上世帯を同一にする一家族単位に取り扱われています。一家の中心となる方の住所地を管轄する法務局に一括して申請をすることができます。

2.帰化するためには住所を受け持つ法務局(地方法務局)に相談をする

帰化についての相談は管轄の法務局(地方法務局)の国籍課に事前相談の電話をすることから始まります。相談は電話予約制となっているので、住所地の法務局(地方法務局)に電話をして「帰化について相談したい」と伝えると相談予約日と時間が決まります。また、相談当日に持参する書類等を指示されます。

電話では、氏名と在留資格と住所を聞かれます。住所が管轄外であったり、帰化申請が100%無理な短期滞在などの在留資格のケースでは予約そのものができませんので注意してください。

3.法務局に訪問し面談をする

外国人は予約日時に法務局へ行くことになります。書類作成を依頼する行政書士がいれば、同行してもらうことになります。

あらかじめ指示された書類を提出し、担当者と通常1時間の面談を行うことになります。

面談では最初にパスポートと在留カードがチェックされます(日本に滞在する外国人が常時所持していなければならないので忘れることは無いはずです)。

続いて過去5年間日本に何日間在留していたかを詳しくチェックされます。日本には80%ルールがあり、1年365日のうち毎年292日以上は過去5年の間に日本にいる必要があります。日本国外に出ている期間が年間80日を超えているなど要件を満たさないと担当官に判断されると、申請を進めることはできません。最低でもこの条件がクリアされている必要があります。

また、日本語の会話能力が要件より劣ると判断された場合にも先に進めることはできません。

一部の法務局では、相談日に30分間日本語の試験を行い、一定水準の日本語力があると判断された時のみ次のステップに進むことができます。

資料と面談での質疑応答の内容から帰化申請が可能かどうかが判断され、問題のない場合、担当官から申請人の用意すべき書類のリストが渡されます。

このリストに記載されている書類内容は帰化申請しようとする人毎に異なります。集めるべき書類は通常であれば25~35種類程度となります。

4.法務局(地方法務局)担当官から渡された帰化申請に必要な書類を集める

ここではあなたが書類や証明書を集める作業となります。

特に外国人の方にとって大変なのは、本国政府や州、市区町村などが発行した出生証明書、婚姻証明書、親族関係証明書、申述書(通常は申請人の母親が記入)などを集めることです。この書類を集めるだけのために本国へ帰らなければならないことも多く、時間と費用がかかります。また、これらの書類が日本語以外の場合には日本語に訳したものも必要となります。

日本国内で集めなければいけない書類は例としては以下のようなものとなります

  1. 住民票の写し…国籍、在留資格、在留期間、在留期間満了日などが記載されていることが必要となります
  2. 国籍証明書…通常、日本にある外国の大使館において国籍証明書は発行されます
  3. 戸籍謄本…親族の中に日本人の方がいる場合に必要となります。配偶者や親が日本国籍の場合、帰化申請をする外国人が提出しなければいけません。既にその日本人の方が亡くなっている場合には除籍謄本を用意します
  4. 税金関係の書類
    1. 会社員…住民税の納税証明書、課税証明書、源泉徴収票
    2. 個人事業主…所得税の納税証明書が上記に加え必要となります
    3. 会社経営者…確定申告書や法人税、法人地方税の納税証明書についても求められます
  5. 収入を証明する書類…会社員の方は勤務していることの証明書、1ヶ月の給与明細が求められます
  6. 公的年金保険料の納付証明書…年金定期便、年金保険料の領収書などが必要です。ねんきんネットにアクセスしパスワードを取得後、年金の納付記録をプリントアウトする方法でも大丈夫です。また、近くの年金事務所に行き、被保険者記録紹介回答票を受け取ることとにより資格取得からの記録を入手することができます。近年外国人の方が日本の年金に加入していなかったとの理由で帰化申請そのものの入り口でとまってしまうケースが多発しております。日本国籍を取得したいと考える外国人の方は必ず日本の年金に加入していることが重要かつ不可欠です。

本人が自筆で記入しなければならない書類として以下のものがあります。

  1. 帰化申請許可書
  2. 親族の概要を記載した書面
  3. 履歴書
  4. 生計の概要を記載した書類
  5. 経営者の場合、事業の概要書
  6. 帰化の動機書

行政書士は自筆書類の書き方や記載内容についてアドバイスを行うとともに、提出時に必要となる書類の内容や必要部数のコピーが用意されていることの確認を行います。

記入した書類は「申請前に法務局の担当官に確認してもらいます」。

5.帰化申請の手続き(申請書類の提出)

提出する全ての書類を法務局(地方法務局)に提出し帰化申請の手続きを行います。
法務局(地方法務局)担当官によって書類の点検、受付が行われます。提出する書類は原本とそのコピー2部を提出することになっています。例えば外国の大学の卒業証明書など返却してもらう必要があるものの場合には原本を見せてコピー2部を提出することになります。
基本的には提出書類に問題がない場合のみ受付番号が発行されます。

6.法務局による書類の審査

この書類審査は法務局(地方法務局)の担当審査官により行われます。提出した書類に疑問がある場合には、担当審査官から申請人に電話がかかってきます。場合によると更なる追加の資料を求められることがあります。

7.法務局(地方法務局)による申請人への面談

提出された書類にもとづいて法務局(地方法務局)の担当審査官が面談を行います。そのうち一回は、日本語能力の試験となります。日本で教育を受けていて、日本語能力が明らかな場合等には省略される場合があります。

申請書類に記載されている内容について日本語で説明する必要があるため、コミュニケーション可能な日本語の会話能力が必要となります。

更に日本の大学を卒業していない場合や日本語能力試験でN1、N2、N3レベルに達していないと判断された場合、日本語のペーパーテストがその場で実施されます。日本の小学2年生までに学習する漢字の読み書きが完璧にできるか、最低限の作文ができるかと言った部分がテストされます。

当行政書士事務所が扱った事例では親子4人の家族で申請したケースで、父と子ども2人は帰化申請の許可がでましたが、母親が日本語能力が基準より低いと判定されたため申請が却下されたことがあります。

その他には面談で仕事の内容が真実とは思えない、申請受理後に交通違反をしているという事実を担当審査官が指摘されこれが原因で不許可となったケースが報告されています。

8.法務局(地方法務局)による身辺の調査等

担当者が、家族や勤務先に電話をしたり、書類確認や疑問点を聞いてきます。また、直接訪問してくることもあります。

9.帰化の可否の通知

申請書類の提出から約1年後に、法務局から帰化の可否が通知されます。

帰化が許可されると官報に告示されます。

法務局(地方法務局)の担当官から許可通知が手渡され、身分証明書が交付されます。この一連の手続き完了後、指定の期日までに日本人になるための手続きを市区町村の役場で行い、日本国籍が認められ戸籍ができたら、在留カードを速やかに入国管理国に返納します。

不許可の場合も法務局(地方法務局)から申請人本人に通知されます。通常は口頭で不許可の理由が伝えられます。日本語能力など改善可能な理由で不許可となった場合には6ヶ月経れば再度申請が可能です。

1~9までの期間は、12ヶ月~14ヶ月ぐらいかかります。
5~9までの期間は、10ヶ月~12ヶ月ぐらいとなります。

もちろん状況に応じてこの期間は変わります。

提出資料の内容について

1.帰化申請書

外国人が帰化許可申請をする場合、申請書を提出することになります。その書類に記載が求められる基本情報は以下のとおりです。

帰化をしようとする者の

  1. 国籍
  2. 出生地
  3. 住所
  4. 氏名及び通称名
  5. 生年月日
  6. 父母との続柄
  7. 父母の氏名・本籍又は国籍
  8. 養父母の氏名・本籍又は国籍
  9. 帰化後の本籍
  10. 帰化後の氏名

これらの情報に加え、自宅、勤務先、携帯電話番号を明記する必要があります。また、申請日の6ヵ月以内に撮影した5㎝正方の単身・無帽・正面上半身の写真を2枚提出します。
15歳未満の場合は、法定代理人(親)と一緒に撮影した写真を2枚提出します。

2.親族の概要書

親族の概要」は、帰化許可申請を行う外国人が法務局に提出しなければならない書類の一つです。

この書面に記載する親族の範囲は、申請をしていない「同居の親族」のほか、申請者の「配偶者(元配偶者を含む。)」「親(養親を含む)」「子(養子を含む)」「兄弟姉妹」「配偶者の両親」「内縁の夫(妻)」及び「婚約者」となっています。

なお、これらの親族については死亡者についても記載する必要があります。

この書面は日本在住の親族と外国在住の親族の用紙を分けて作成することになります。

記載する情報は、続柄、氏名(カタカナ表記)、年齢、職業、住所、生年月日に加え交際状況の情報です。

死亡している親族の場合、住所の記載に代え、死亡日を記載します。

交際状況等の情報については、

  1. 交際の有無
  2. 帰化意思の有無
  3. 申請者の帰化に対する意見
  4. その他(電話番号、帰化申請日、帰化日)
  5. 電話番号
  6. 既に帰化しているとき、帰化許可申請をしている場合は、その許可日若しくは申請日

3.生計の概要その1とその2

法務局から帰化許可申請のために求められる「生計の概要」は、必ず提出が求められる資料です。その1とその2があります。

3.1.生計の概要(その1)

収入の記載で世帯を同じくする家族全員の収入が月収ベースでいくらになるのかを記載します。

この月収学は申請時の前月分についてその手取り額を合計することになります。もし、収入が世帯を異にする親族等からの仕送りによる場合は、月収欄に送金額を、種目欄に仕送りである旨を備考欄には仕送り人の氏名及び申請者との関係をそれぞれ記載することになります。

支出として記載が求められる支出科目は以下の通り6種類で、それらに該当しないものについてはその他に記載します。

  1. 食費
  2. 住居費
  3. 教育費
  4. 返済金
  5. 生命保険等掛金
  6. 預貯金

主な負債の欄もあり、借入の目的、借入先、残額、完済予定を明記する必要があります。

3.2.生計の概要(その2)

生計の概要(その2)については

  1. 不動産(種類、面積、時価当、名義人)
  2. 預貯金(預入先、名義人、金額等)
  3. 株券・社債等(種類、評価額、名義人等)
  4. 高価な動産(種類、評価額、名義人等)

1から4の記載が必要で、4の高価な動産とはおおむね価値が100万円以上のものをいいます。

なお、1の不動産についてはおおむね100万円以上のものを記載することになります。

簡易(特別)帰化について

簡易(特別)帰化とは、通常の帰化許可申請よりも要件が緩和された中で日本国籍を取得することができます。申請要件があるので誰でもができる訳ではありません。

日本との結びつきを考慮し、以下の1から3にあてはまる場合、帰化申請の要件のうち住所に関する要件が緩和され、日本に引き続き5年以上住んでいない場合でも帰化許可申請が出来ます。

  1. 日本人であった者の子(養子は該当しない)で、引き続き3年以上日本に住んでいること
  2. 日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住んでいること
  3. 日本で生まれたもので、実の父親または母親が日本で生まれていること

「日本人の配偶者」の場合、次の1もしくは2にあてはまる場合、住所要件と能力要件が緩和されます。5年間日本に居住しておらず、18歳に達していなくとも帰化許可申請が可能です。

  1. 日本人の配偶者(夫または妻)で、引き続き3年以上日本に住んでいて、現在も日本に住んでいること
  2. 日本人の配偶者で、結婚してから3年を経過していて、引き続き1年以上日本に住んでいること

日本との関係で、元日本人や日本人の子などは帰化許可申請をする場合、住所要件、能力要件、生計要件が緩和されます。18歳に達していなく、かつ生計維持能力がない場合でも帰化申請することができます。

  1. 日本人の子(養子は該当しません)であって日本国内に居住していること
  2. 日本人の養子で、引き続き1年以上日本に住んでいて、養子縁組をした際に本国で未成年であったこと
  3. 日本国籍を失った人で、日本に住んでいること
  4. 日本で生まれ、かつ、生まれた時から国籍をもっておらず、出生のときから引き続き3年以上日本に住んでいること

 

これらの手続を全て行い、法務局が帰化を認めた場合のみようやく日本国籍が与えられ日本人として認められるのです。

もし、帰化が認められれば、在留カードは必要なくなります。参政権も与えられますので、選挙に行くこともできます。日本のパスポートも取得できるので、日本への出入国も自由になります。

帰化申請は許可されるまでに膨大な時間と書類の収集、作成、日本語の能力等が求められます。行政書士法人JAPAN VISA STATUSは煩雑な帰化申請の書類作成などの手続きを代行いたします。今まで帰化申請をあきらめていた方もぜひ行政書士法人JAPAN VISA STATUSにご相談ください。

 

帰化した外国人の画像

帰化は条件が厳しいけれど 帰化すれば日本人として活動ができます